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桜の涙がみえますか
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君がどんな風に変わっていようと…


君は君だから…


俺は君を君として受け止めるよ…


君が俺を選ばなくとも…









美奈たちを呼び、とりあえず俺の部屋へ連れていった。



「今から美奈たちがくるから、それまで座っていて。」


俺はコーヒーをうさに渡した。


うさの好きな砂糖とミルク入りだ…。


「ありがとう…ございます…。」


うさは戸惑いを隠せないようだ…


無理もない……知らない男が目の前にいて、知らない男の部屋に連れてこられたのだから…


「敬語じゃなくていいよ。楽にして。」


君の負担を少しでも軽くしたかった。


俺の前でそんな不安そうな顔をしないで…


「あの……私とあなたは…知り合いなんですか?」


俺は胸が締め付けられるように苦しくなった…


本当に君は覚えていないのか…


君の左手の薬指に光る指輪のことも…


将来を近いあったことも…

遠い昔から愛し合っていたことも…


俺に関してすべてを……



俺は恋人だと答えるべきなのか?


それでは負担にさせてしまうかもしれない…


知らない男に恋人だなんて言われるのだから…


しかし言わなければ俺の手から君が離れていってしまうのではないかと不安にかられる…



玄関のチャイムがなった。

美奈たちが来たようだ。


俺は答えが先伸ばしになりほっとする…



玄関を開けて美奈たちを迎え入れる。


「うさぎちゃんっ!怪我はない?大丈夫?」

亜美が心配そうに駆け寄る。


「うさぎ、心配したじゃない…」

レイは怒りながらも安堵の表情を隠せないようだ。


「元気そうでよかった…」
まことは安堵の表情を浮かべうさの頭をぽんと叩く。

「うさぎ…無事で…よかった」

美奈は辛そうな表情をしながら言った。


「みんな…ホントにごめんね…私…何が起こったかわからなくて…私…倒れてて…気がついたら……」


うさは俺を見やる。


「彼に助け起こされていたの。」


「本当に良かった……敵に操られてたのよ…まもちゃんがいて良かった…」


美奈は安堵の表情を浮かべうさにそう言った。



「……まもちゃん………?」


うさは怪訝そうな不安そうな顔をしながら言った。


「あなたはまもちゃんって呼ばれているの?」



みんながうさの言葉に驚きを隠せないようだ…


俺はまだみんなにうさが俺のことを忘れていることを伝えていなかった…


いや、伝えられなかった。

俺の口から言ったら現実になってしまう気がして…


うさは忘れていないんじゃないかって思ったんだ。


だけど…君は本当に忘れてしまったんだね…


俺のことも…


俺との想い出も…



みんなが俺のことを見つめる。


「そうだよ。俺は地場衛っていうんだ。」


みんなの疑問に答えるように俺は言った。


みんなはうさの様子と俺の口調から察してくれたようだ。


「そうなんだ…でもね……思い出せないの…何も……」


うさの言葉に胸が張り裂けそうになる。


うさの申し訳なさそうな表情が…辛そうな表情が俺を苦しめる。


いつだって俺は君に苦痛しか与えていないのか…



俺は君を抱き締めてしまいたい衝動にかられたが、思いとどまった。


再び俺の腕に君が包まれる日はくるのだろうか……
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