「コーヒーでいい?」
衛は優しい顔をしながらきいた。
「うん」
うさぎは少しぎこちなく答えた。
ネクタイを緩める衛の姿に見とれる。
優しくて…
かっこよくて…
いつも護ってくれて…
全部包んでくれて…
あたしにはもったいないぐらいで…
いつだってあたしはコドモで…
あなたと一緒にいれることが不思議なの。
いつかあなたが離れていってしまうんじゃないかって…
あたしを捨てて行ってしまうんじゃないかって…
あなたはそんなことする人じゃないけど…
あたしの心の闇が常に押し寄せて…
あたしを取り込もうとする…。
あなたは怒ってるよね。
あなた以外の男の人と…
あたしはキスしてしまいそうなぐらい近くにいた。
浮気っていうのかな。
あたしはあなたしか見えないのに…
本当に好きなのに…
裏切るようなことをしてしまった…。
胸が押しつぶされそうに苦しかった。
「どうした?」
衛の声にはっと我に返る。
「なんでもないよ。」
うさぎはなるべく笑顔をみせた。
そうかと言いながら衛はうさぎにコーヒーをわたす。
2人はソファーに座る。
2人の間に少し間があいていて…
隣にいるのに…
すぐ近くにいるのに…
なんだかとても遠い…
「まもちゃん…怒ってるよね…」
「………。」
うさぎから話をきりだす。
「あんな風に一緒にいてごめんなさい……。」
「………。」
「あの……あんな風に一緒にいたのは…全然変な意味じゃなくて…」
無言だった衛が急にため息をつく。
「じゃぁ…どういう意味で一緒にいたんだ。」
衛の言葉にうさぎはびくっとする。
「ただ…話をしたくて……」
「だからあんな風にいたと言うのか。」
「自分の恋人が違う男とキスしそうなところを見てしまう気持ちがわかるか。彼が去ったときのうさの顔を見てどんなに辛かったかわかるか。話をするだけでそんな風になるのか。俺がどんな………!」
衛は言葉がでなくなった。
うさぎが瞳に涙をためていた。
涙を流さないようにこらえながら衛を見つめて聞いていた。
「………ごめ…んなさ……い…」
堪えきれなくなり涙が溢れ出す。
「…ごめんなさい……ごめん…なさ…い……ごめんなさ…ごめ………」
衛は自分を呪った。
愛する君を悲しませないと…
涙を流させないと…
辛い思いをさせないと…
誓ったはずなのに…
自分の感情のせいで泣かせてしまった。
最悪だ…俺は…。
だけど君の涙は俺の理性を呼び戻してくれる…。
「うさ……ごめん……泣かないで」
衛は指でうさぎの涙をぬぐう。
「感情的になってごめん。俺がちゃんと大人になれなくて…」
「違うの…まもちゃんは何も謝ることなんてない……あたしが全部いけないの…ごめんなさい…ごめんなさい……あたし…まもちゃんが大好きなの……絶対それは変わらないの……お願い……嫌いにならないでぇ……」
「………っ!」
衛は胸が張り裂けそうだった。
衛は両手をうさぎの顔に添え、瞳をまっすぐみつめる。
「嫌いになんてなるわけない。うさを好きすぎて胸が苦しいよ。」
うさぎはただただ涙を流し続ける。
「いつだってうさのことを想ってる。それはずっとかわらない。」
「うさのことを想いすぎて、うさが俺のことが重荷になるかもしれない。だけどそのときは言ってほしい。うさには辛い思いをしてほしくないから…」
うさぎの涙はいつのまにか止まっていた。
いつだって好きであればあるほど不安になる。
だけどそれは好きでいるからこそ…
大事にしてるからこそなんだよね。
だから少しでもあなたに…君に…不安がなくなるように…
頑張るよ。
お互い目を閉じ、口づける。
お互い求め合うように激しく…
息もできないくらいに…
「うさ…愛してる…」
「あたしも愛してる…」
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嫉妬とヤキモチの完結編みたいな感じです。
長くてダラダラしてしまった気が…
お読みいただきありがとうございました。
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