しかしキミの背中にある無数のキズによってよみがえる。
俺がつけてしまったキズ。
「まもちゃん、私の目を見てっ。」
もはやアヤツリ人形でしかない俺に訴えかけるキミ。
俺はキミの声が聞こえていたんだ。
心の奥底で。
やっとキミに会えたのに・・・
俺は俺でない。
もはやキミの足手まといでしかない。
体はまるで自分のものではないようだった。
自分の意思もなく・・・
言われるがままに動くアヤツリ人形。
愛するキミの前で
キミではない女性と
キスをする。
キミがどんな顔をしたか・・・
キミがどんな気持ちになったか・・・
俺は想像するだけで胸がしめつけられた。
息が苦しくなる。
キミの悲痛な叫びも聞こえていた。
苦しい。
「二人の力で生まれたロッドで・・・あたしを・・・。」
キミがさらわれてから肌身離さず握っていた二人のロッド。
俺は・・・
愛してやまないキミを・・・
二人のロッドで・・・
叩きつけた・・・
地面に倒れるキミ。
支えてやることもできない俺。
自分に意識があることを呪った。
意識がなかったら
どんなに良かっただろうか。
キミを傷つけている自分を自覚しなくてすむ。
そんなことさえ考えてしまった。
キミは俺に愛と安らぎを与えてくれる。
俺はそんなキミに痛みしか与えられてない。
傷つけて・・・傷つけて・・・傷つけて・・・
愛しくて、愛しくてたまらないのに・・・
俺はキミのそばにいない方がいいのだろうか。
「なにか辛いことがあったの?」
はっと衛は我に帰る。
「起きてたのか。」
「さっき少し目が覚めたの。」
そうか・・・と衛は言い、うさぎの頭をなでる。
「何かあったの?真剣な顔してたけど」
再び尋ねるうさぎ。
「いや・・・、なんでもないよ。」
衛は平静を装い、そう答える。
「本当に?」
うさぎがそう言いかけた時、衛に口をふさがれる。
優しく・・・味わうように・・・
「大丈夫だよ。」
衛はうさぎの耳元で息を吹きかけるようにささやく。
再び口をふさぐ。
優しく・・・深く・・・深く・・・
衛はうさぎを包むように抱きしめる。
二人の息遣いが荒くなる。
「俺がお前を・・・護っていくから・・・ずっとそばに・・・」
キスの合間にとぎれとぎれに言う。
「うさ・・・愛してる・・・」
お互い愛の波に溺れていった。
************************
原作でブラックレディに操られていた時の衛の心情を想像してみました。
辛かったんだろうなあ。
PR